歯を抜けたままにしておかないということがとても重要です
このようなご質問を受けることがあります。歯が抜けてしまった後に、どのような治療法を選択するかも重要ですが、
その前に「歯を抜けたままにしておかない」ということがとても重要です。
と言って、歯科医院で先生に歯を抜いてもらってから、そのままにしてしまう方が少なからずいらっしゃいます。
それに、歯が抜けた後の治療というのは何となく抵抗があるかと思います。
外科手術を伴うインプラントも、完成後も入れ歯安定剤が必要な義歯も、差し歯に近いブリッジ治療も…
保険外治療法でお金がかかるし、型取りに行くのも面倒だし…
それに、虫歯を抜いてそのままにしておいても、すぐに痛みが出るわけでも、腫れるわけでもないから別に大丈夫!
皆さんの中にも、そう思っている方はいらっしゃいませんか?
歯を失ってしまうことによって、これまで反対側の歯はその歯と咬み合うことによって受けていた刺激が受けられなくなることによって、刺激を求めて伸びてくるのです。
これは反対の歯の長さが長くなるのではなく、骨の中に埋まっていた部分が出てくることになります。そして、接触する歯がなければ、反対の歯ぐきまで伸びてくることもあるのです。
これによって、反対の歯は大きな問題を抱えることになってしまうのです。
根っこから長く伸びてしまった歯を戻すことはトンカチで打てば戻る釘とは違うので戻すことが難しくなります。また、抜けてしまった歯のスペースを補うための人工の歯を入れる際にもとても難しい治療となってしまうのです。
歯は相互に力を掛け合うことによってその位置を保ってきました。しかし、歯を抜いてしまったことによって、その両隣の歯を支えてくれる歯が無くなってしまい、歯を抜いたことによってできたスペースに徐々に動き、傾いてきます。
また、これをそのまま長期間、放置しておくとさらに横の歯も同じように傾いてきます。
この傾いてしまった歯を元に戻そうとすると、これは全体的な歯列矯正治療が必要になってきます。たった一部分の歯並びを治すだけでも、結局は全体に手をつけざるを得ず、費用としては60〜80万円程度かかることが一般的です。
また、抜いてしまった歯の本数が多い場合にはうまく咬むことが出来なくなってしまうので、もう片方の歯でばかり咬み(片咬み)、咬み合わせのバランスが崩れてきます。
このように咬み合わせがずれることにより、顎関節症の原因となるリスクが高くなってくるのです。
そして、かみ合わせがずれたままにしておくと歯をどんどんと失っていき、負の連鎖により、奥歯から崩壊が始まってしまうことにもなります。
奥歯の歯を失って大きな総義歯を入れるか、インプラントを複数本入れるか…
本来、歯を失った時は、すぐにきちんと治療を行い、残っているご自身の天然歯をなるべく大切に長持ちさせることが望ましいです。
たった1本歯が無くなっただけだと思い、そのままにしておくと徐々に全体のバランスが崩れてくることになってしまうのです。
歯が抜けたままですと、見た目が悪いですし、他の人からの印象が悪くなります。女性や、人と会うお仕事をされている方には深刻なお話ですよね。
また、本人もそれを気にして、大きな口をあけて笑ったり、知り合いや友達とのコミュニケーションを取らなくなってしまうこともあるようです。
普段はあまり人の歯を意識して見ない人でも、その人のお口の中に歯がなかったりすると、違和感があり気になったりするものです。
それだけ、歯や口元の審美性が周囲の人に与える印象は大きいということです。インプラントの上部構造として装着するセラミック冠は審美性に優れておりますので、見えてしまってもほとんど問題ありません。
歯を失ってしまうと、歯茎が下がってきます。 しかし、これは歯肉が下がっているのではありません。歯を支えているのは歯茎ではなく、歯槽骨という骨なのですが、この歯槽骨が歯を失ってしまったことによって機能しなくなり、その幅と高さを徐々に減らし骨量が少なくなってしまうのです。歯医者でしっかりレントゲンや歯科用CTにかけると、状態は一目瞭然です。
特に上顎の歯が抜けている場合、上顎洞の下の骨幅がインプラント体(チタン金属製の人工歯根)を埋められないほど薄くなっていることも多いです。その場合は高度な手術法が必要となり、ソケットリフト法で骨を押し上げ再生したり、サイナスリフト法で骨補填材と人工骨を粘膜の中に埋入する治療方法を取っていきます。研鑽を積んだ当院では、もちろん施術可能です。
大人の歯を4本抜歯する矯正治療によって顔の印象が変わるのは、顔の輪郭の変化もあります。
奥歯を失うと、頬のラインや顎のラインが内側によります。
これを矯正医学的に行うのであれば良いのですが、抜いた歯を放置していると、おかしなことになってしまうことがほとんどです。歯を失ってから時間が経つと、歯ぐきも下がってくるので、頬がこけて見えたり、顎がたるんで見えたりします。また、前歯の場合は口元にシワが寄りやすくなります。
実際の年齢の割に、周りよりも高齢に見えてしまうこともあるでしょう。このように見た目の面からも抜いた歯を放置しておくということは大きなマイナスとなってしまうのです。
咬み合せのバランスが崩れてしまったことによってうまく食事を咀嚼できない状態が続くと消化しにくい状態で食べ物が胃腸に送られることになり、胃や腸への負担が増加します。
また、咀嚼がきちんとできないと唾液の分泌が不足するので、消化の妨げになります。それだけでなく、唾液には口の中をキレイにする自浄作用があります。唾液の不足により歯垢の分解が上手く進まず、歯周病のリスクが高まります。 唾液の不足は口臭の原因となってしまう場合もあります。
歯がない部分から息が漏れ、発音が不明瞭になってしまう場合もあります。
そのような自分の話し方を気にして、あまり人と話さなくなってしまうこともあります。
咬むことで、脳に刺激が与えられるのですが、咬み合わせがずれることによって、この脳への刺激も減少することになってしまいます。
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